コレチメント®について簡単に
コレチメント®が発売されました。
活動期潰瘍性大腸炎(重症を除く)を効能・効果とする新投与経路医薬品として承認されたのが2023年7月。9月から発売開始となっています。
コレチメント®概要
製品名:コレチメント®錠9mg CORTIMENT® Tablet 9mg
このタイプのヒート、ゆがみやすくて、苦手(泣)
有効成分:ブテゾニド
適応 :活動期潰瘍性大腸炎(重症を除く)
用法用量:通常、成人にはブデソニドとして9mgを1日1回朝経口投与する
薬価 :(9㎎錠1錠)607.8円/day
(参考 レクタブル®注腸フォーム14回なので、762.1円)
(参考 PSL30~40mgはプレドニン®錠5mg6錠の場合、9.8円*6~8錠=58.8~78.4円)
臨床的位置づけ
従来の経口ステロイドと比べ、全身性副作用の軽減が期待
有効成分であるブデソニドの低い生物学的利用率、製剤の徐放化及び腸溶性フィルムコーティングにより従来のステロイドの経口剤と比べて全身曝露量が少なく、全身性の副作用が軽減されることが期待される。
5-ASAで効果不十分な軽症から中等症の活動期UCに
本剤は、軽症から中等症の活動期 UC に対する寛解導入に係る効能・効果で欧米を含む75 以上の国又は地域で既に承認され、欧米の診療ガイドラインにおいて 5-ASA で効果不十分な軽症から中等症の活動期 UC 患者に対する治療として推奨されている(J Crohn’s and Colitis 2017 : 769-84、Gastroenterology 2019; 156: 748-64)。
日本のガイドラインへも、そのうち追記されるのでしょうか。
ゼンタコート®カプセルとの違い
適応が違う。
ゼンタコート®は軽症から中等症の活動期クローン病が適応で規格が3mg。
レクタブル®注腸フォームとの違い
有効成分は同じ。到達部位が違う。
おおむねS状結腸部までであり、直腸部及びS状結腸部の病変に対して使用することとされている。
注意点
- メサラジンとの非劣性国内検証なし。
- (禁忌)デスモプレシン酢酸塩水和物(ミニリンメルト®)を投与中では低ナトリウム血症を発現する恐れがある。
- 投与開始8週間を目安に継続必要性を評価し、漫然と投与しない。
- 副腎皮質ステロイドであるため、重篤な感染症、副作用には十分注意すること。
服薬指導
- 噛まずに内服。(徐放錠のため)
- 飲み忘れた場合、気づいたら服用。次の服用の時間が近い場合には服用しない、2回分を1度に絶対に服用しない。
- 水痘、麻疹など、感染症に注意。
- 便中に錠剤が認められることがある。
- グレープフルーツ(ジュース含む)を控える。(単独投与に比べ全身曝露量が2倍)
いかがでしたか?
メーカーさんも工夫されて、いろんな薬が発売されますね。
では、また~。
参考
コレチメント® | 持田製薬株式会社
コレチメント®審査報告書
コレチメント®添付文書
コレチメント®インタビューフォーム
コレチメント®くすりのしおり
ごっちゃになる用語を整理する【その2】
皆さん、こんにちは。
ごちゃごちゃ用語を整理する、第2弾です。
なかなか正確には答えづらいところではありますが、少しでも参考になればと思います。
テタニー vs.ミオパチー
テタニー
末梢神経レベルで起こる。血液中のカルシウム濃度が低下し、末梢神経の興奮性が高まり、筋肉の持続的な硬直をきたすもの。この場合、口の周りや手足の先端のしびれ感を伴うことがよくある。
例)
副甲状腺機能低下症の方で「体調悪いときにはテタニーが仕事中に起こるから、気になるのよね」とおっしゃっていた方もいらっしゃいます。
ミオパチー
ミオパチーとは、筋肉の疾患の総称。遺伝的な原因で起こるものとして、筋肉の病理像に特徴的がある先天性ミオパチーや、なんらかの代謝の障害によって起こる代謝性ミオパチーがある。
例)
テタニーvs.ミオパチーは、そもそも言葉の枠組みが違いました。
テタニーは過換気症候群でも出てくるというのは、初めて知りました…
チアノーゼ vs. レイノー
チアノーゼ
口唇、顔面、または爪床の青みがかった変色
チアノーゼには脱酸素化のヘモグロビンが少なくとも5g/dLであることが必要とされるため、動脈血酸素分圧が低下(<85%)している可能性がある(注:多血症などの場合は例外である)。チアノーゼがみられないからといって低酸素血症が除外されるわけではない(注:貧血などの場合)。
レイノー
レイノー現象とは、発作的に手足の血の流れが悪くなって、皮膚の色が蒼白または紫色(チアノーゼ)になり、痛み、冷感、しびれ感を自覚し、次いで血液の流れが回復すると、逆に充血し赤くなる現象。
身体全体や手足が冷たい空気や水などにさらされたり、強い精神的緊張やストレスなどが引き金となり、手足の細い動脈の強い収縮が起こることによって生じる。
レイノー現象には原因不明のもの(レイノー病と呼びます〉と何か他の病気があって起きる場合(レイノー症候群と呼びます)の2つに分けられる。
レイノー症候群
- 動脈硬化などによって血管の内腔が狭くなる場合(器質性動脈疾患)
- 振動工具、ピアノ、タイプなどの反復使用による局所の外傷
- 手指などに分布する神経や血管が肩の部分で骨や筋肉などによって圧迫される場合(神経血管症候群)
- 未梢神経炎などの神経障害
- 薬物や重金属(鉛、砒素など)
- 甲状腺や膵の腺腫などの内分泌障害
- リウマチ膠原病
- 赤血球増多症や異常蛋白など血液成分の異常、など
チアノーゼ:指先が紫、低酸素血症(全身症状)
レイノー :指先が蒼白→紫→赤、手足の細動脈収縮(手足のみ)
…ということでした。
チックvs.ミオクローヌス
チック
異常な運動と音声を含み、両方存在する場合にはトゥレット症候群という。発作性であり、一度きりではミオクローヌスと判別がつかないが、肩をすぼめる、顔をピクつかせるなどの反復性がみられる。前駆症状として感覚チック(不快感、異常感覚)があり、チックにより軽減する。
ミオクローヌス
重症度および分布が変動する可能性がある、電気ショック様の短時間の筋収縮である。
ミオクローヌスは生理的な場合(例,吃逆、睡眠関連筋収縮(寝入りばなに手や足がピクっとする運動))、または様々な脳疾患、全身性疾患、もしくは薬剤に続発する場合がある。
(薬剤に続発する場合:抗ヒスタミン薬、カルバマゼピン、セファロスポリン系薬剤、レボドパ、リチウム、MAO阻害薬、オピオイド(通常は用量依存性)、ペニシリン、フェニトイン、三環系抗うつ薬、SSRI、バルプロ酸)
代謝性害(肝不全、尿毒症など)が原因であればそれを是正し、必要な場合は症状を和らげるために薬剤(例、クロナゼパム、皮質性の場合にはバルプロ酸、レベチラセタム)を投与する。
チックは発作性で反復性、前駆症状有、睡眠時にはない、
ミオクローヌスは断続性、前駆症状なし、一部は睡眠時にも起こる
…というところでしょうか。
いかがでしたか?ミオパチーとミオクローヌスも「ミオ」つながりでごっちゃになりそうでした。
不随意運動については、参考6の文献が網羅性が高くて、こんなにたくさんあるんだと驚きました。
では、また~。
参考
最近、思うこと「ガイドラインってありがたい…!」
皆さん、こんにちは。
今日はガイドラインについてです。
きっと諸先輩方は「ガイドラインなんて更新されるごとに読んどるわ!」という方もいらっしゃるでしょう。
今回はガイドラインを敬遠している方に向けての共感と応援です。
ガイドラインって分厚い
いままでは勉強でガイドラインを遠ざけてきました。
実物を見ると分厚いですし、「これ読むの?えー、無理」となっていました。
webで調べると、わかりやすいけど浅い!
ただ、ある記事を書いているときのことです。
「webで調べるだけだと、なんだか『なるほど。』感に欠けるな。」
と壁にぶち当たってしまいました。
そして、重い腰をあげて、とうとう読んでみましたのです。
すると、なんということでしょう!
webで調べるよりも、とっても役に立ちそうです!
他の疾患の過去の記事についても、ガイドラインを読んでアップデートしなくては、とも思いました。
webで調べるメリットと限界
疾患について調べるにあたって、webでは患者様向けの噛み砕いたサイトがあるのが、メリットですが、限界やデメリットがあります。
- 一般向けの内容が多い
- どのような症状で日常生活に影響があるのか具体的に示されていることもあり、患者の気持ちを理解する一助になる
- ⇔複数閲覧しても、重複している点が多い
- ⇔薬剤師として、医療者として、どういったポイントがあるのか、という情報は少ない
- 検索結果がたくさん出てくる
- ⇔ サイトの信用性を見分ける必要がある
- ⇔検索ワードを入れて、適切なサイトを選び出す、という手間が生じる
ガイドラインのメリット
ガイドラインにはそれぞれに個性がありますが、上記のような心配はありません。
そして、疾患に特有の薬剤の注意点なども載っており、添付文書だけではわからない情報を入手することもできます。(例.ベーチェット病の患者に対して、シクロスポリンは急性型神経型ベーチェット病の発症を誘発することがあるため、既往のある者には使用しない、など)
- 信用度が高い
- 網羅されているため、参照は必要に応じてすればよく、トータルとして調べる時間が少なくて済む
- 医師や医療者を想定して書かれているため、特に疾患特有の業務上、注意するべきポイントがつかみやすい
最近、CQ形式が増えているからでしょうか。
読み始めると面白くて、結構夢中で読んでしまいます。
アララ、今日の「なるほど。」:ガイドライン読みましょう!
いかがでしたか?
案ずるより産むがやすし!(使い方あっているでしょうか?)
遠回りしてwebを読み漁るより、ガイドラインで知りたい情報をサクッと読んでしまいましょう!
妊婦や授乳中の患者の投与可否について、調剤薬局ですぐに調べるには
こんにちは、アララです。
皆さんの薬局には、妊婦さんや授乳婦さんはいらっしゃいますか?
便秘薬や保湿剤はよく調剤することがありますよね。
でも、やっぱりそれだけじゃない。
妊娠に伴う症状だけでなく、もともと花粉症のある方や偏頭痛があっても、
妊娠・出産のステージを経験される女性もたくさんいらっしゃいますよね。
風邪をひいてしまう方だっていらっしゃるでしょう、免疫は下がっていますから…
妊婦・授乳婦:一層の注意が必要、かつ、お待たせすることもできない
妊婦さん、授乳婦さんへのお薬の調剤にあたっては、慎重な処方監査が必要なのは言うまでもありません。
そのためには、例えば投与経路、胎盤通過率、生殖毒性、催奇形性などいろいろな観点での検討が必要です。
しかし、いきなり一次資料をあたるのは、現実的ではありません。
つわりやお腹の張りで辛い妊婦さんもいらっしゃるでしょうし、
育児で疲れ切っている授乳婦さんを待たせるのは、とても心が痛むものです。
すぐにお調べして、お薬をお渡しして、安心してお家でお休みしてもらうためにも
スピードは欠かせないですよね…(自戒です)
たまにしか来ないから、すぐに調べられるようにしておきたい
そう思うと、すぐに結論にたどり着けるまずは二次資料などを手元に置いておきたいものですよね。
基本的な薬のことは覚えていても、いつ何時どんな薬が調剤されてくるのかは予想がつかないところです。
すぐに調べられるツールを持っておく方が、曖昧な記憶に頼るよりもずっと正確で、安全かなと思います。
妊婦・授乳婦に使われる薬について、薬剤師個人でもすぐ確認できる情報源
その① 大昔、先輩の言っていた一言:産婦人科で出される薬であれば、大丈夫(…⁉)
たしかに~!、と思った記憶があります。
実習の前に教えていただいたのかな。
私は世渡りとか、そつなくこなすということができないタイプなので、こういった視点はありませんでした。
ただ、授乳している患者様で、先生から「服用している間は中止してください」など用法口授がある可能性も。
先生から飲み方を聞いているか、などを確認する方が安心でしょう。
聞いているつもりだったけれど、改めて聞かれるとどうだったっけ?
という方もいます。
そういうときにはやっぱり情報を引っ張り出す必要が出てきます。
ただ、やはり頻出の薬剤については一つの指標にはなるかな、と今でも思います。
その② 辞書を常備しておく
専門の本を自分で買うほどでもない、薬局が経費で落として買ってくれない。
そういうときには個人でツールを準備しておく必要があります。
医薬品集には様々なものがありますが、下記の辞書は妊婦・授乳婦の情報も他の情報と一緒に掲載されています。
その③ 参考になる無料webサイトをPCにブックマークしておく
とはいえ、自分のお気に入りの辞書やすでに使っている辞書もあるでしょう。
参考になるwebサイトをブックマークしておいて、投薬の際に引っ張り出しておけるようにすることはすぐにできますね。
妊娠中に関する情報が授乳中に関する情報と比べると比較的少ないです。
リンクはこちら↓
- 大分県産婦人科医会 http://www.oitaog.jp/
- 妊娠・授乳と薬 | 資料箱 | 愛知県薬剤師会 医療関係者用
- Drugs and Lactation Database (LactMed®) - NCBI Bookshelf
- e-lactancia: ¿Es compatible con la lactancia?
安心できるような服薬指導も心がけたい
普段の食生活でさえ、かなり気を使っているのが妊婦さん、授乳婦さん。
お薬を飲むことへの抵抗は多かれ少なかれあることでしょう。
それでも辛いからやむを得ず受診し、お薬での治療を希望された、という経緯を鑑みるとお薬に対しての不安も大きいことは想像に難くありません。
不必要な不安をしっかり拭い去って、安心して治療に臨んで、ストレスのないようにしていただきたいですよね。
私は今回の妊娠で「皮膚掻痒症」と診断されて、ロラタジンを飲みました。
先生は、
安全と言われる薬を出すからね
海外でこういうランクになっているから
と丁寧に説明してくださいました。
あ、これはいいなと思いました!
私の性格もあるかもしれませんが、”客観的な情報を自分の目で見させてくれた”
ということが、大きな安心につながりました。
普段の投薬でも実感しますが、データについては口頭で伝えても納得してもらいづらいですよね。
特にAGと先発品の違いとか…(これは愚痴です、そして自分の力不足です)
説明のときに、書籍や信頼できるwebの情報を目で見てもらう方法、私も使っていこうと思います。
ちなみに、私は医療機関や薬局を利用する際には、自分が薬剤師だと名乗りません。
(その方が対応も勉強になりますし、その分野でスペシャリストの先生方ですから、
自分よりずっといろいろご存知です。)
それでは、また~。
マンジャロ®について、薬剤師アララ的ポイントを簡潔に。
おはようございます、アララです。
私事ですが、アララは産休に入りました。
情報に置いて行かれないように、がんばって更新して、勉強を続けていきたいと思います。
さて、本日はマンジャロ®についてお勉強です。
マンジャロ®ってなんじゃろ!?って言いたくなりますよね!
アルマジロ!とも感じる語感。
出荷調整と適応外使用について
日刊薬業でも一時、話題になっていましたね。(2023年8月ごろ)
出荷調整が高用量のみだったのが、他規格にも波及しているようです。
痩身目的での処方によるものもありそうです。
承認範囲とは異なる使用法であり、健康被害の懸念から、糖尿病学会やメーカーが警告しています。
誤解を招きかねない不適切な広告表示を厳に戒め、国内承認状況を踏まえた薬剤の適正な処方を行ってください。また、特に本学会専門医による不適切な薬剤使用の推奨は、糖尿病専門医に対する国民の信頼を毀損するもので本学会として認められる
ものでないことを警告します。引用元:GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解 2023年4月12日
マンジャロ®について、薬剤師アララ的ポイント
- 一般名
チルゼパチド - 販売時期、処方制限
- 2023/6
- 薬価
参考までに近い価格で横並びに、他の週1回GLP製剤を載せています。
(海外データだと、オゼンピック1mg®より、マンジャロ®5mgの方が効果もあるようだから*、マンジャロはコスパがいいのかもしれない)
- 特性
- 世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬
- 優れた血糖低下効果
- アテオス®の高い操作性(1回使い切り)
GLP受容体作動だけと違って、何かいいことがあるの?というところですが、下記のように作用があるそうです**難しいことは、メーカーサイトを確認しましょう。
- 処方監査時のポイント
- 用量
- 週1回皮下注射
- 2.5mg→5mg(維持量)(→7.5mg→10mg→12.5mg→15mg)
- 増量は各段階で4週間以上の間隔をあける
- 用量
腎機能障害時の投与について制限がないのはトルリシティ®と一緒ね。
- 服薬指導
- 患者さん向け資材がある
- 保存
2~8℃で遮光保存するとき、有効期間はいずれも24ヵ月。
ただし、室温(30℃以下)で遮光保存するときには、21日以内に使用。 - 注射部位
腹部、大腿部又は上腕部 - 打ち忘れ、曜日の変更
- 3日、72時間がボーダー
- 次回投与までの期間が3日間(72時間)以上
気づいた時点で直ちに投与し、その後はあらかじ
め定めた曜日に投与すること。 - 次回投与までの期間が3日間(72時間)未満
投与せず、次のあらかじめ定めた曜日に投与
すること。 - 週1回投与の曜日を変更する必要がある場合は、
前回投与から少なくとも3日間(72時間)以上間隔を空ける
- 副作用、モニタリング
臨床試験では体重減少幅も大きかったから、患者さんのBMIなどにも気を配りましょう。
いかがでしたか?
オゼンピックと同様にシングルドーズから、調節式のものへの規格変更はあるのか、またその辺りも注意しながら、在庫管理したいものですね。
マンジャロの高い有効性に加え、15mgまで増量可能であることは、多剤併用の可能性を減らせるかもしれませんね。
それでは、また。
~参考~
添付文書
製品情報概要
患者さん向け資材
*N Engl J Med 2021; 385:503-515
**マンジャロ(チルゼパチド)はGIP/GLP-1受容体作動薬であるが、GIPとGLP-1の作用は? | 医療関係者向け – 日本イーライリリー株式会社
臨床検査値について、調剤薬局で必要な知識を速攻で学ぶ
こんにちは、薬剤師のアララです。
今回は、臨床検査値について、です。
新米薬剤師やセカンドキャリアの薬剤師の先生方でアララ?となったことありませんか?
私はあります!
臨床検査値について、患者様から聴取することありますよね
私の勤めさせていただいている、調剤薬局で応需する処方箋には、臨床検査値は載ってきません。
ただ、患者様から検査結果を見せていただき、お話しすることもあります。
それでも、患者様がお急ぎのときや、見せていただけないときには、関連する症状などで確認をとることもあります。
臨床検査値を逸脱した場合の症状を紋切型で聞いてしまう
よく確認する検査値と言えば、血圧やHbA1cですが、他にもたくさんありますよね。
例)
- 副甲状腺、活性型VD3製剤 →Ca値
- 腎障害や消化器系疾患の患者様 →K値
- 抗悪性腫瘍薬など多くの薬剤 →肝機能、腎機能 …などなど
特に私のなかでは低K血症と高K血症の症状を混乱することがあります。
高Ca血症については「吐き気、倦怠感」、肝機能は「倦怠感、手先、白目が黄色くなる」など紋切型でお伺いしてしまい、ちゃんと確認できているのか不安になることも。
そこで、克服しようと読んでみた本がとっても良かったので、勝手におすすめさせていただきます!
アララ的おすすめ本!
千葉大の処方箋には臨床検査値がともに記載されているようで、それを応需した調剤薬局のベテラン薬剤師と若手薬剤師が確認し、処方監査から医師への疑義照会や患者様への投薬や調剤前の聴取の会話が具体的に示されています。
読んで覚えたこと、今日の「なるほど。」
懸念のある臨床検査値への対応法
まず懸念のある臨床検査値への対応は、下記の通り進めることを覚えました。
- 臨床検査値についてはCTCAEなどのグレードを確認する
- 臨床検査値の流れを把握する(服薬前、服薬後など)
- 懸念のある臨床検査値について、患者様へ症状や処方の経緯の認識を確認する
- 懸念のある臨床検査値への対応は有効性の確保(代替薬の提案、経過観察でよいか)、安全性の確保(被疑薬の中止、検査値の異常に対する対応のための追加薬)を明確にし、疑義照会を行う
その際には検査値がグレードでいくつなのかを伝える - 服薬指導では、変更の経緯、さらに悪化した場合の症状、変更後の薬剤についてや、日常生活の注意点などをお話しする
これまでの業務で怠っていたなと思う点…
- これまでは臨床検査値について、「高い」「低い」と表現してしまっていました
グレードでお話しすることで、程度が明確になるということは、コミュニケーションの上でも誤解がなく、医師と正確に疎通するために、大切なことだと感じました。 - その時の臨床検査値しか見られていなかった
検査値については薬歴に残っていれば、流れを把握することもできますが、そのとき、患者様が持ち合わせていた検査値の結果のみで話を進めてしまうことが多くありました。懸念のある値でも改善傾向の可能性もあるからこそ、流れで把握することが必要なのだと学びました。流れが不明な場合にはその旨も医師に伝えつつ、疑義照会するなど柔軟な対応も学ぶことができました
同じように感じられている方はぜひご一読なさってみてください!
膠原病疾患について、ざっくりまとめ
こんにちは、アララです。
膠原病について、5つほど、ブログで勉強いたしました。
が、すでに
「アララ…、レイノー現象って強皮症だけじゃないのね、症状も結構重なっている」
と混乱しております。
そこで私の大好物であります!『表』に!ざっくりまとめてみました!
スクロールをぐりぐりして、ふむふむとご覧ください。
膠原病5疾患について、ざっくりまとめの表
症状では重なりが多いので混乱しやすいですね。頻度の多い特徴的な症状と、使用薬剤がかなり違うので、そこに着目した方が混乱しづらいとわかりました。
全身性エリテマトーデス | シェーグレン症候群 | ベーチェット病 | 強皮症 | 混合性結合組織病 | |
---|---|---|---|---|---|
概要 | T細胞、B細胞等に起因する免疫異常を 背景とした自己免疫性疾患のひとつ |
炎症反応の亢進とその制御不全 | 全身臓器における炎症反応の 亢進とその制御不全による病気 |
炎症と自己免疫異常、血管障害、線維化 | 全身性エリテマトーデス様・強皮症様・ 多発性筋炎/皮膚筋炎様のうち 2つ以上の症状が混在 |
男女比 | 1:9 | 1:17 | 男性優位→女性優位 | 1:10~17 | 1:13~16 |
好発年齢 | 20~40歳代 |
50歳代 |
20~40歳 | 30~60歳代 | 30〜40歳代 |
環境因子など | 紫外線、感染、手術など | ウイルス感染、免疫異常、女性ホルモンなど | シルクロード沿い地域に特有な環境因子、細菌、ウイルスなど | ― | ― |
特徴的な症状 | 蝶形紅斑 ループス腎炎 |
乾燥症状(口、目、膣、気道) 関節痛などの臓器病変 |
口腔内アフタ性潰瘍 外陰部潰瘍 皮膚症状 眼症状 |
レイノー現象 肺高血圧症 皮膚硬化 腎クリーゼ |
レイノー現象 ソーセージ様腫脹 |
自己免疫抗体 | 抗核抗体 | SS-A抗体、SS-B抗体 | ― | 抗核抗体は95%陽性 限局型:抗セントロメア抗体陽性 びまん型:抗Scl-70抗体陽性、 抗RNAポリメラーゼ抗体陽性 |
抗U1-RNP抗体 |
主な使用薬 | HCQ PSL IVCY MMF リツキシマブ 免疫抑制薬 ベリムマブ |
点眼 - ヒアルロン酸、ジクアス® ムスカリン受容体刺激薬 - セビメリン、ピロカルピン 人工唾液 |
PSL NSAIDs Col MTX 5-ASA 抗TNFα阻害薬 |
MTX PPI ACEI 末梢循環改善薬 肺高血圧生薬 ニンテダニブ |
PSL 免疫抑制薬 末梢循環改善薬 HCQ |
レイノー | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
関節痛、関節炎 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
口腔潰瘍 | 〇 | 〇 | |||
消化器症状 | 〇 | 〇 | 〇 |