アカシジア、ジスキネジア、ジストニアー!(呪文風)ごっちゃになる用語を整理する【その1】
こんにちは、薬剤師のアララです。
調剤薬局に勤務し始めたころには、アカシジア、ジスキネジア、ジストニアの区別がたまにつかなくなっていました(汗)
正直に申し上げるならば、今もたまに「アララ?」となることがあります。
今回取り上げる用語は以下の通りです。
アカシジア vs. むずむず脚症候群
アカシジア(静坐不能)
- 「じっとしていられない」「むずむずする」などが主訴として現れる。
- 苦痛軽減として歩き回るなどする(随意運動である)(消失はしない?)。
- 眠気に関係なく発現。睡眠困難はむずむず脚症候群より軽度ともいわれる。
- 急性の場合には、内的不穏、焦燥感なども伴う。抗精神病薬などで起こりやすい。中脳辺縁系や中脳皮質系のドパミン遮断作用によるものと考えられる。薬剤性の場合にはジスキネジアと併発することもある。
- 原因薬剤の減量、中止を検討。急性であれば、中枢抗コリン薬、βブロッカー、ベンゾジアゼピン系を使用。
むずむず脚症候群
- 「むずむずする」「虫が這うような」「ちくちく刺されるような」「ひっぱられるような」などと表現される。
- 下肢を動かすと消失する。
- 下肢の異常感覚が一次症状として現れ、夜間就寝時の眠気とともに発現し、入眠困難を来す。
アカシジアvs.むずむず脚症候群では、
感覚の訴えや眠気に伴う発現かが大きな違いになりそうですね。
ジスキネジア vs. ジストニア
ジスキネジア
- 歴史的には口唇ジスキネジアとして、用いられていた。現在では舞踏運動、ジストニア、振戦など様々な運動を包括し、広義に運動過多、不随意運動の障害を指す。
- 「繰り返し唇をすぼめる」「舌を左右に動かす」「口をもぐもぐさせる」「口を突き出す」「勝手に手が動いてしまう」「足が動いてしまって歩きにくい」「足が突っ張って歩きにくい」 などなど。
- 主に口、頬、舌、下顎など顔面周囲に生じ、時に四肢、躯幹に舞踏病様の不随意運動として発現する場合もある。
- 不随意運動のため、アカシジアのように苦痛を和らげる行動は生じない。
- 抗精神病薬により遅発性に生じるもの、パーキンソン病の治療薬により副作用として生じるものなどがある。
ジストニア
- 持続性の不随意な筋収縮による。痛みを伴うことも。
- 目があけづらい(眼瞼痙攣)、首が曲がってしまう(痙性斜頚)、字が書きづらい(書痙)、声が出しづらい(痙攣性発声障害)、話すときに舌が出てしまう(口舌ジストニア)、などなど。
- 異常運動・異常姿勢は一定の同じものであること(常同性)、一定の動作において強く見られること(動作特異性)感覚トリック(sensory trick)と言ってどこか体の一部に自分の手などでさわっていると症状が減少する現象があることが特徴。
- 眼球がジストニア運動により偏位する(oculogyric crisis)という現象は、薬剤性では起きるが、普通のジストニアでは起きにくい。
ジスキネジアvs.ジストニアは
うねうね vs. ピーンという感じでしょうか。
いかがでしたか?
ジスキネジアって舞踏様運動かと思っていましたが、不随意運動を包括するものだとわかって、納得しました。
用語も歴史的に少しずつ定義が変化していくものなのですね。
わからなくなった都度、調べるのがちょうどいいのだ!と分からなくなった自分を肯定しておきたいと思います!
参考
重篤副作用疾患別対応マニュアル
アカシジア
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1j09.pdf
ジスキネジア
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1c21.pdf
ジストニア | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
ベーチェット病のガイドラインからポイントだけ!
こんにちは、薬剤師のアララです。
シェーグレン症候群の記事を終え、お次はベーチェット病。
着々とカタカナの泥沼から抜け出しつつあるアララです!
だた、ベーチェット病っていろいろありますよね。
現場に出てから、「え?腸管型?神経型?そんなの習ってないよ~」と困ってしまいました。
ベーチェット病とは
全身臓器における炎症反応の亢進とその制御不全による病気です。
が、
ところで、自己”免疫”疾患と自己”炎症”疾患について、みなさま、区別ついていらっしゃいましたか?
たとえば、全身性エリテマトーデスは?シェーグレン症候群は?ベーチェット病は?
自己免疫疾患か、自己炎症疾患か、区別ついていらっしゃいましたか?
お恥ずかしいですが、私は区別、ついておりませんでした!(土下座)
膠原病の先生方の話を聞いていると「炎症主体の疾患だから免疫抑制薬は効かない」とおっしゃっていることもあります。自己”免疫”は「自分を攻撃すること」、”炎症”は「発赤、腫脹などの現象」とはなんとなくわかりますが。
自己”免疫”疾患は炎症がつきものだと思っていましたし、自己”炎症”疾患って、自己免疫が攻撃しているんじゃないの?一緒じゃないの?って思っていました。
そんな疑問をちょっと「なるほど。」に変えてくれた表が載っていました!
こうして整理されていると、「確かにー!」ってなりませんか?
そして、それぞれの疾患の位置づけは下記の通りになっており、グラデーションになっているようです。
「なるほど~。」って感じ、しませんか!?(しつこい)
私は2、30分はこの2つの表を眺めていられました。
病因
原因は不明です。
関連遺伝子が報告されているようですが、変異があっても発症しない地域が存在し、シルクロード沿いの地域に特有な環境因子が発症のリスク因子であることが強く疑われるそうです。
日本人、中国人ではトルコ人、ユダヤ人などより家族内発症が少ないです。
ヘルペスウイルスなどの微生物など多様な因子が関与する多因子疾患とまとめられています。
症状
それでは、ベーチェット病の症状についてみていきます。主症状と副症状に分かれるようです。副症状が多彩です。患者さんによっては、3か月分ともなると他の疾患と合わせて薬が段ボール1箱くらいになる方もいらっしゃいます。
主症状
- 口腔内アフタ性潰瘍
- 90%以上でみられる
- 皮膚症状
- 毛包炎様皮疹、結節性紅斑、血栓性静脈炎など
- 眼症状
- 外陰部潰瘍
-
80%程度に見られる、特異度が高い
-
有痛性、ヘルペスよりも潰瘍が大きい、鼠径部にできることも
-
副症状
-
関節炎
-
日本では57%に生じている
-
治療を要さずとも自然回復することもあり、発作と寛解を繰り返す
-
-
精巣上体炎
-
日本では5%程度に合併しており、頻度は高くない
-
感染を契機に悪化することもある
-
-
腸管型
-
ベーチェット病の悪化によるものではなく、同時に発症するものをいう
-
回盲部に存在する類円形の深掘れ潰瘍、突然の穿孔や出血など生命予後に影響する可能性も
-
術後再発率が高く、複数回の手術を必要とすることも
-
-
血管型
-
神経型
治療、日常生活での注意点
治療は主にステロイド、再発予防などにコルヒチン、症状に応じてMTX、アザチオプリンなどの免疫抑制薬やTNFα阻害薬が使われます。
ガイドラインにはそれぞれ治療アルゴリズムが載っていますが、主なものだけ確認します。
主症状の治療
- 口腔内アフタ性潰瘍
- 眼症状
- 外陰部潰瘍
- 急性期 ベリーストロングのステロイド外用(難治例ではストロンゲスト)
- 副症状
モニタリングの際の注意
シクロスポリンについては疾患特有の注意が必要で、また、コルヒチンのモニタリングなどについては薬剤師として重要と思いました。
- コルヒチン
下痢、ミオパチー、白血球減少、血小板減少、精子減少、など起こるため、注意。シクロスポリンと併用の際にミオパチーが起こりやすい。 - シクロスポリン
急性型神経型ベーチェット病の発症を誘発することがあるため、既往のある者には使用しない(特に、TNFαとの併用でベーチェット病特有の副作用と記載あり)。中止によりその後再発しない。多毛、腎機能障害、白質脳症などにも注意。腎血流を減らすことにより、コルヒチンの作用増強が表れる。 - TNFα阻害薬
白質脳症、感染症などの重篤な副作用に注意、シクロスポリン、ステロイドとの3剤併用で、感染症リスクはさらに高くなる。 - 中止、減量について
寛解が維持されている場合には中止、減量などの考慮をしてもよいが、病型や症状によっては中止は推奨されず、また、エビデンスは豊富とは言えない。
おわりに
いかがでしたか?
自己免疫と自己炎症の違い、シクロスポリンが急性神経型ベーチェット病の誘因になること、コルヒチンとの併用でミオパチーが増える、など、ガイドラインを読んで知ることができて良かったな、しっかりモニタリングしないとな、と思いました。
疾患特有の薬剤の副作用や、よく使われる組み合わせによる相互作用など、これからも他のガイドラインを読むときには是非チェックしてみます!
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0426/G0001177
シェーグレン症候群について、お勉強
こんにちは、アララです。
お勉強していて、私の状態としても上記のイラストのようになっていますが…
今回はシェーグレン症候群についてお勉強です。
よく使われる薬についても簡単にまとめました。
概要
- 涙や唾液を作っている臓器を中心に炎症を起こす全身性の自己免疫疾患
分類
- 原発性
- 続発性 関節リウマチの20%、全身性エリテマトーデス、強皮症、混合性結合組織病に合併
疫学
- 50歳でピーク
- 1:17女性に多い
病因
- 不明、遺伝的要因、ウイルスなどの環境要因、免疫異常、更に女性ホルモンの要因
経過
- 10年で半数不変、半数何らかの悪化
症状
- 乾燥症状45%(腺症状)
- 口 口角が切れてしまうことも、口が渇く、唾液が出ない、味がわからない、舌や口内内が痛い、虫歯が多くなった、唾液腺が腫れて痛いなど
- 目 (涙が出ない、目がゴロゴロする、目が痛い)目の角膜炎
- 膣 性交不快感 分泌液が少ないため
- 気道 咳出やすい、かすれる
- 臓器病変50% ステロイド+免疫抑制薬(推奨度は弱い)(腺外症状)
- 5%
診断基準
- 難病申請、特定疾患があるので、厚生省が基準を出している 唾液、血液の抗体SS-A -60%,SS-B -30%抗体、涙液の検査などで該当数
治療、生活上の注意
- 症状緩和であり、免疫療法はあまり効果ない
- 治療が系統だっていない
- ドライアイ
- 口腔内乾燥
- 生活指導
主な薬剤
ムスカリン受容体刺激薬
- セビメリン
- ピロカルピン
去痰薬
- ブロムヘキシン
- 漿液性分泌増加作用、肺表面活性物質の分泌促進作用など
- モニタリング
- 悪心、食欲不振、頭痛
人工唾液
- サリベート®エアゾル
- 服薬指導
- 温度が40℃以上となる所に缶を置かない
- 使い切って(ガスを出しきった状態で)捨てる
- 通常、口腔内に1回1〜2秒間、1日4〜5回噴霧。症状により適宜増減。
- 使う前には缶の上部の青印に噴射口を合わせ、容器をよく振ってから使う。容器を垂直に立てて口の中に噴霧。残りが少なくなると(目安:1回1秒間の噴霧で30回以上噴霧したとき)、噴霧液量が少なくなるため、そのときは噴霧時間を延ばしてください。
- 服薬指導
参考
https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/collagen/disease/disease03.html
https://www.nanbyou.or.jp/entry/111
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000031.html
https://ss-info.jp/kisotishiki/kisotishiki05.html
各添付文書、くすりのしおり
全身性エリテマトーデスについて、お勉強
みなさん、こんにちは。
エリテマトーデス、シェーグレン、チアノーゼ、レイノー…
カタカナって覚えづらいです。泣
そして、膠原病の患者様が多い私の勤める薬局では避けて通ることはできません。
今日は全身性エリテマトーデスについて、お勉強です。
概要
-
- 全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)はT細胞、B細胞等に起因する免疫異常を背景に、皮膚、腎臓、脳等多彩な臓器を傷害する代表的な自己免疫性疾患のひとつ
疫学
-
-
有病率は10万人当たり20~150人と報告され、好発年齢は 20~40歳台で男女比は 1:9 で女性に多い
-
2019 年における我が国 の指定難病の医療費助成者数は約6万2千人
-
コホート研究で、SLE発症時に24.5%がループス腎炎、18.5%が漿膜炎、12%が神経精神ループスを合併していたという報告がある
-
SLEは何らかの遺伝的素因を背景として、紫外線(海水浴、日光浴、スキーなど)、風邪などのウイルス感染、怪我、外科手術、妊娠・出産、ある種の薬剤などが誘因する環境因子として知られている。
-
一卵性双生児でのSLEの一致率が25~50%程度である ことからも、環境因子の重要性が示唆される.
-
症状
-
- 蝶形紅斑がよく知られているが、病変の所在や程度は多様
- 再発と完解を繰り返す
分類基準
-
- SLICC分類
2012 年、Systemic Lupus International Collaborating Clinics(SLICC)が提唱 - EALAR/ACR SLE分類基準(最新)
2019 年、より高感度、高特異度の分類を目指し欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism:EULAR)とACRから新たな SLEの分類基準(表 2)が提唱された7).;日本では検証中
- (抗核抗体が80倍以上が必須である)
- SLICC分類
治療目標
-
- 不可逆な臓器障害の評価
- 疾患活動性評価
- SLEDAI (SLE disease activity index)
- 指定難病の臨床調査個人票にも採用
- 簡便だが網羅性に欠ける
- 疾患活動性評価のため、重症度を反映しない
- BILAG Index (British Isles Lupus Assessment Group Index)
- 煩雑だが汎用されている
- SLEDAI (SLE disease activity index)
- 社会的完解
- 子供の運動会に参加するなど、自分の生活目標が達成されること。総合指標やそれぞれの臓器についての寛解を評価することが目的。
(↑薬剤師として、副作用が妨げになっていないか、心のケア含めて聞き取りが大切なところだと思いました!)
- 子供の運動会に参加するなど、自分の生活目標が達成されること。総合指標やそれぞれの臓器についての寛解を評価することが目的。
- 完解基準 将来の臓器障害のリスクなどが考慮されている
- 近年はT2T treat to targetの考えが定着
- 少しずつ変化している
- 2021 年にEULARの年次会議で 2021 年DORIS (definitions of remission in SLE)の寛解基準が発表され,clinical SLEDAI=0かつ PGA<0.5 かつPSL換算 5 mg/日以下の状態
- lupus low disease activity state(LLDAS)が提唱された.LLDAS はSLEDAI-2K≤ 4(ただし腎炎、中枢神経、心血管系、血管炎、発熱、溶血性貧血、消化器症状を伴わない)、新規の活動性上昇なし、PGA≤ 1 を満たしたうえでPSL換算 7.5 mg/日以下で維持されている状態を示す.なおLLDASでは抗マラリア薬・免疫抑制薬の使用に制限はない. LLDASを観察期間の50%以上で達成されている場合、臓器障害のリスクが低下すること、6 カ月以内にLLDASを達成できない場合、早期の臓器障害の独立した予測因子であること等が明らかとなっており、LLDAS達成の意義が明らかとなってきている
(↑ 処方解析をするうえで、一つの目安になりそうです!)
診療アルゴリズム
-
- 2017年にB細胞を標的とした治療薬(B細胞活性化因子[BAFF]阻害薬)であるベリムマブ(商品名:ベンリスタ®)が国内で承認され、最近では2021年に炎症性サイトカインの一つであるインターフェロンαの受容体を標的とした薬剤であるアニフロルマブ(商品名:サフネロー®)が承認された。そのほかにもループス腎炎の治療に有効性が期待できる薬剤として、B細胞に発現するCD20を標的とした抗体であるオビヌツズマブ(商品名:ガザイバ®)やIL-17Aに対する抗体であるセクキヌマブ(商品名:コセンティクス®)などが治験で検証中
- 血栓を作りやすい抗リン脂質抗体症候群を合併している方では、アスピリン、ワルファリンなどによって、血栓の予防が行われる
- 腎不全のときの透析療法など、その病状に合わせて治療が行われます。また血行障害の強い方では、血管拡張薬などが使われる
その他
いかがでしたか?
治療目標や社会的完解については考えさせられるものがありました。
コミュニケーションにおける課題を念頭に患者様への服薬指導や体調確認にあたりたいものです。
それでは、また。
参考
http:// https://www.carenet.com/news/general/carenet/49119
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)|慶應義塾大学病院 KOMPAS
全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49) – 難病情報センター
この保湿剤の量で3か月分?外用薬の必要量を概算する。
みなさま、こんにちは。
保湿剤たくさん必要な方っていらっしゃいますよね。
小児は特にそうですし、あとは強皮症やアトピーの方もたくさん必要で、何百gも処方が出ることが少なくありません。
私の薬局では、1か月分または3か月分処方の方が多いです。
これって、足りているの?余る量なの?
FTUっていうけど、全身だと何gなの?
気になったので、改めて調べてみました。
FTUという単位について、注意点
FTUとはご存知のとおりFinger Tips Unitの略で、人差し指先~第一関節までに絞り出した外用薬の量のこと。両手のひらの面積に塗ることができる量とされています。
が、注意点がいくつかあります。
- 具体的には0.5gであるということ
絞り出す外用チューブは25gや50gのものの場合、つまり、口径が広いものの場合であり、5gチューブであれば、(人差し指先~第一関節)*2回の量が必要 - 小児の場合にも成人のFTUが適応されること
親御さんが塗ってあげるケースも多いので、想像に難くないですね。服薬指導の際には、言外にしてしまわないように、さらっと告げておきたいです。 - ステロイドなどでは、FTUより多めの量が必要であるという報告などもあるということ
FTUの量は実際塗ってみると、「これ、全然余ってる~、もっと広げてしまいたい」と思う見た目になりますが、薬効を得るためには必要量が各薬剤によって変わってくるので、患者様の状態と使用量は個々人で変わってくる可能性が大きい、多くは塗り足りない可能性を踏まえた方がいいということになるなあと思います。
全身だと何g?参考と実際
天下のマルホのサイトには、下記のように示されています。(成人の場合)
https://www.maruho.co.jp/medical/articles/hirudoid/howto/guideline.html
実際、手を当てて、数えてみたことはありますか?
私の場合、顔・首が2・1/2FTUは納得なのですが、片脚は7FTUくらい面積ありそうだなと思いました。体重や手の大きさでもちろん変わってきますよね。
なので、参考になるのは全身は1日1回1週間で140g前後必要だということかなと思います。
両手、両足だったら25gチューブ1本がおよそ1週間分になりますかね~。(1週間で21gなので)
四肢だったら、84gなので、医師としたら、1週間100gくらいで出すでしょうか。
1か月であれば、この4倍、3か月だったら、12倍。
…持って帰るのも大変な量になりますね。
なかなか安定しない患者さんに対しては、「どの部位に使っているか」「どのくらいの期間で使い切るか」など、細かく伺った方がよいと改めてわかりました。
手っ取り早い!伝え方と塗り方
- 何gって頭のなかで計算できない → 「とにかく、このくらい塗ってください!」
「テカッと光るくらい」「ティッシュが貼り付くくらい」塗りましょう!とお伝えしてる方多いですよね。私もその一人です! - 塗るのが面倒、固くて広がらない → 「手のひらで塗りましょう!」
お化粧する方だったら、当たり前かもしれませんが…
1)多めに手に取る
2)点々と適当な間隔で置いていく
3)手のひらで塗り広げる
さらに、軟膏であれば、手で練って柔らかくするといいです、チキソトロピーっていいましたっけ…(遠い目)
意外と指で広げている人も多いですよね、CMとかでも手と指で塗っている絵がでるからでしょうか。手のひらの方が、塗り漏れ、ムラなく塗れます。
参考
強皮症
こんにちは。薬剤師のアララです。
私が勤めさせてもらっている薬局では膠原病の患者様が多いです。
なんとなく知っているけれど、詳しくはよくわからない、という点も多く、まだまだ勉強の必要があるなと思います。
記事にしたくても、範囲が広すぎて、どこまでにすればいいのか、なかなか重い腰があがらず…
投薬のときには、薬の副作用や効果を確認することはできますが、全体像がいまいちつかめていなかったので、勉強したことを備忘録として今日は記事にしています。
今回のトピックは全身性強皮症です。
お薬も15種類くらい持って行かれる方も少なくない印象です。シェーグレンや肺高血圧の合併もあったりする方はさらに薬剤数が多くなります。
暖かくなってくると、症状はやわらいでくるようですが、冬はお辛そうな方が多いです。
処方例
1)タクロリムス、メトトレキサート、フォリアミン、セレコキシブ、ベラプロスト、ヘパリン類似物質クリーム
2)タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、ベラプロスト、トラクリア®、テプレノン、タケキャブ®、モサプリド、ユベラN®、プロスタンディン®軟膏、ヘパリン類似物質油性クリーム、アンテベート軟膏、など…
分類1
-
- 限局性 内臓病変ないもの(限局型とは全く異なる)
分類2
病態
-
-
炎症と自己免疫異常、血管障害、線維化
- 男女 1:10~17(データによる?)、30~60歳代、国内2万人ほど
-
免疫異常 抗核抗体は95%陽性、抗scl-70抗体びまん
-
血管障害 血管の急激な攣縮によるレイノー現象、潰瘍、肺高血圧、腎クリーゼ、爪上皮出血点
- 線維化 血管障害から発展、皮膚硬化手がむくむ、薄くなり、固くなる、指が曲げられなくなる(関節は異常なし)15%ルール
-
治療
生活上の注意点
- 保温、保護により、寒冷刺激の回避(感染には抗菌薬)
- 消化器症状悪化防止のため、刺激物を避けた食事
- 免疫抑制薬服用のため、感染予防
- 血管収縮が強く、レイノーなど悪化するため禁煙は必ず
- 疲労感が出やすいため、無理のない生活
参考
「体調、悪いです…」とお話しくださった、混合性結合組織病の患者様。
今日の患者様
アララ「体調いかがですか?」
患者様「体調悪いです、下痢がひどくて…」
口数の少ない患者様ですが、少しずつ自身の体調について教えてくださるようになりました。「体調悪いです」。本当によくないのだと思いますが、それを吐露してくださったことに、大切な意味があるように思います。
それと同時に体調の変化があっても、薬の変更はわずかであることが多く、その変更が奏功してくればいいなと思いながら、もどかしい思いがあります。
混合性結合組織病とは
定義、概要
混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease;以下MCTD)は、全身性エリテマトーデス様・強皮症様・多発性筋炎/皮膚筋炎様のうち2つ以上の症状が混在し、血液検査で抗U1-RNP抗体という自己抗体が陽性となる病気です。
疫学
- 人数 10,182人(令和2年)医療受給者証保持数
- 男女比 1:13~16
- あらゆる年代で発症
症状
- 共通症状
- レイノー症状
- ソーセージ様腫脹
- 混合症状
- SLE様症状(多発関節炎、リンパ節腫脹、顔面紅斑…)
- 全身性強皮症症状(強皮症と異なり、強くはないが皮膚硬化、間質性肺疾患、食道機能の低下…)
- 多発性筋炎/皮膚筋炎様症状(腕や足の筋力低下…)
- 合併症
- 肺高血圧症(予後を左右する)、など
個人によって病変は多彩、分布、重症度も多様。
イブプロフェンなどのNSAIDsによって無菌性髄膜炎が誘発されることもあるそうで、薬剤師としては市販の解熱剤を安易に使用しないようにお話しすることも大切だと感じます。
治療
ステロイドによる治療がメインとなり、免疫抑制剤を組み合わせ、それぞれの症状に応じて、末梢循環改善薬やヒドロクロロキンなどを使用する。
処方例)
プレドニゾロン錠1mg 4錠 朝食後
シクロスポリンカプセル50mg 1カプセル 夕食後
他、アムロジピン錠、アレンドロン酸錠、バクタ®配合錠、ビオフェルミン®配合錠、アルサルミン®細粒、ベリチーム®配合顆粒、タケキャブ®錠 など…
ステロイドや免疫抑制剤による治療を行うことで、SLEや多発性筋炎様症状は改善するものの、レイノー減少や手指腫脹、全身性強皮症様症状は最後まで残ることが多い。
日常生活の注意
禁煙は必ず。
根本治療はなく、治療は長期間になる。
過労は避ける。
寒冷、乾燥に対する対策を行う。
食道機能低下などある場合には食後すぐ横にならない、よく噛むなど。
患者様の心情
治療を行っていても、残っている症状があること。
治療にも限界があり、まったく病気がない状態にまではならないということ。
それにより困ったり、苦しむことが多くあることを、患者様のブログを見て感じました。「弱音を吐きたいけれど、家族は聞き飽きてしまっている、もしくは聞きたくないと言われる」ということもあって、ブログをされている方もいるかもしれません。初期の方であれば「どうして私が」という感情もありますし、時を経るにつれて、線維化により、症状が変わってくることもあり、その戸惑いもあるようです。
自分事は大事です、自分を第一に大切にしてほしいと思います。
「つらいですよね、頑張っていますね、きっと頑張りすぎです、休みましょう」と言えるように傾聴したいと思います。
一方で、鍼灸に通われたり、薬膳など学んで食事を気を付けたりして、非常に健康意識が高く、推し活などをしながら人生に潤いを持っていらっしゃる方も多くいるという印象を受け、輝いているなと思いました。
アララ、今日の「なるほど。」
混合性結合組織病では病状が多彩であり、治療を行っていても、症状は完全にはなくならない。
その気持ちを傾聴することや、日常生活のアドバイスを必要に応じて行うこと、体調の悪化が薬剤の副作用によるものではないか、一過性のものか、など経過に寄り添っていけるようにすることが必要と思いました。
それでは、また。
参考
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s4_q01.html
混合性結合組織病(MCTD) | 一般社団法人 日本リウマチ学会(JCR)
混合性結合組織病|千葉大学大学院医学研究院 アレルギー・臨床免疫学
混合性結合組織病(MCTD)とはどのような病気か?病状の評価と治療 - 独立行政法人国立病院機構 宇多野病院