薬剤師アララ、今日の「なるほど。」

アララな疑問を「なるほど。」に変えるブログ

「体調、悪いです…」とお話しくださった、混合性結合組織病の患者様。

今日の患者様

アララ「体調いかがですか?」

患者様「体調悪いです、下痢がひどくて…」

口数の少ない患者様ですが、少しずつ自身の体調について教えてくださるようになりました。「体調悪いです」。本当によくないのだと思いますが、それを吐露してくださったことに、大切な意味があるように思います。
それと同時に体調の変化があっても、薬の変更はわずかであることが多く、その変更が奏功してくればいいなと思いながら、もどかしい思いがあります。

 

混合性結合組織病とは

定義、概要

混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease;以下MCTD)は、全身性エリテマトーデス様・強皮症様・多発性筋炎/皮膚筋炎様のうち2つ以上の症状が混在し、血液検査で抗U1-RNP抗体という自己抗体が陽性となる病気です。

疫学
  • 人数 10,182人(令和2年)医療受給者証保持数
  • 男女比 1:13~16
  • あらゆる年代で発症
症状
  • 共通症状
  • 混合症状
    • SLE様症状(多発関節炎、リンパ節腫脹、顔面紅斑…)
    • 全身性強皮症症状(強皮症と異なり、強くはないが皮膚硬化、間質性肺疾患、食道機能の低下…)
    • 多発性筋炎/皮膚筋炎様症状(腕や足の筋力低下…)
  • 合併症
    • 肺高血圧症(予後を左右する)、など

個人によって病変は多彩、分布、重症度も多様。
イブプロフェンなどのNSAIDsによって無菌性髄膜炎が誘発されることもあるそうで、薬剤師としては市販の解熱剤を安易に使用しないようにお話しすることも大切だと感じます。

治療

ステロイドによる治療がメインとなり、免疫抑制剤を組み合わせ、それぞれの症状に応じて、末梢循環改善薬やヒドロクロロキンなどを使用する。
処方例)
プレドニゾロン錠1mg 4錠 朝食後
シクロスポリンカプセル50mg 1カプセル 夕食後
他、アムロジピン錠、アレンドロン酸錠、バクタ®配合錠、ビオフェルミン®配合錠、アルサルミン®細粒、ベリチーム®配合顆粒、タケキャブ®錠 など…
ステロイド免疫抑制剤による治療を行うことで、SLEや多発性筋炎様症状は改善するものの、レイノー減少や手指腫脹、全身性強皮症様症状は最後まで残ることが多い。

日常生活の注意

禁煙は必ず。
根本治療はなく、治療は長期間になる。
過労は避ける。
寒冷、乾燥に対する対策を行う。
食道機能低下などある場合には食後すぐ横にならない、よく噛むなど。

患者様の心情

治療を行っていても、残っている症状があること。
治療にも限界があり、まったく病気がない状態にまではならないということ。
それにより困ったり、苦しむことが多くあることを、患者様のブログを見て感じました。「弱音を吐きたいけれど、家族は聞き飽きてしまっている、もしくは聞きたくないと言われる」ということもあって、ブログをされている方もいるかもしれません。初期の方であれば「どうして私が」という感情もありますし、時を経るにつれて、線維化により、症状が変わってくることもあり、その戸惑いもあるようです。
自分事は大事です、自分を第一に大切にしてほしいと思います。
「つらいですよね、頑張っていますね、きっと頑張りすぎです、休みましょう」と言えるように傾聴したいと思います。
一方で、鍼灸に通われたり、薬膳など学んで食事を気を付けたりして、非常に健康意識が高く、推し活などをしながら人生に潤いを持っていらっしゃる方も多くいるという印象を受け、輝いているなと思いました。

アララ、今日の「なるほど。」

混合性結合組織病では病状が多彩であり、治療を行っていても、症状は完全にはなくならない。
その気持ちを傾聴することや、日常生活のアドバイスを必要に応じて行うこと、体調の悪化が薬剤の副作用によるものではないか、一過性のものか、など経過に寄り添っていけるようにすることが必要と思いました。

それでは、また。

 

参考

混合性結合組織病(指定難病52) – 難病情報センター

https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/s4_q01.html

混合性結合組織病(MCTD) | 一般社団法人 日本リウマチ学会(JCR)

混合性結合組織病|千葉大学大学院医学研究院 アレルギー・臨床免疫学

混合性結合組織病(MCTD)とはどのような病気か?病状の評価と治療 - 独立行政法人国立病院機構 宇多野病院