薬剤師アララ、今日の「なるほど。」

アララな疑問を「なるほど。」に変えるブログ

強皮症

こんにちは。薬剤師のアララです。

私が勤めさせてもらっている薬局では膠原病の患者様が多いです。

なんとなく知っているけれど、詳しくはよくわからない、という点も多く、まだまだ勉強の必要があるなと思います。

記事にしたくても、範囲が広すぎて、どこまでにすればいいのか、なかなか重い腰があがらず…

投薬のときには、薬の副作用や効果を確認することはできますが、全体像がいまいちつかめていなかったので、勉強したことを備忘録として今日は記事にしています。

 

今回のトピックは全身性強皮症です。

お薬も15種類くらい持って行かれる方も少なくない印象です。シェーグレンや肺高血圧の合併もあったりする方はさらに薬剤数が多くなります。

暖かくなってくると、症状はやわらいでくるようですが、冬はお辛そうな方が多いです。

 

処方例

1)タクロリムス、メトトレキサート、フォリアミン、セレコキシブ、ベラプロスト、ヘパリン類似物質クリーム

2)タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、ベラプロスト、トラクリア®、テプレノン、タケキャブ®、モサプリド、ユベラN®、プロスタンディン®軟膏、ヘパリン類似物質油性クリーム、アンテベート軟膏、など…

 

分類1

    • 限局性 内臓病変ないもの(限局型とは全く異なる)
    • 全身性 レイノー現象は全体的にある、以下はおおむねびまん型に多い、消化器病変、強皮症腎クリーゼ、心病変、間質性肺炎、肺高血圧症、筋炎

分類2

    • 限局型 びまん型より比較的軽症なもの。肘より先。65%、悪化も大きくなく、進行もごくゆっくり、ごくまれに肺高血圧(2%以下)(※限局性とは別物)
    • びまん型 肘よりも中心性28%、急激に進行し、5年を経過する頃に皮膚症状快方に向かうケースもあるが内蔵病変は残る
      • 皮膚硬化を伴わない全身性強皮症(内蔵病変)7%
      • セントロメア抗体陰性
      • 抗トポイソメラーゼI(Scl-70)抗体陽性(30%)、抗 RNA ポリメラーゼ抗体陽性(15%)

病態

    • 炎症と自己免疫異常、血管障害、線維化

      https://www.nippon-shinyaku.co.jp/ssc_pah/ssc/ より
    • 男女 1:10~17(データによる?)、30~60歳代、国内2万人ほど
    • 免疫異常 抗核抗体は95%陽性、抗scl-70抗体びまん
    • 血管障害 血管の急激な攣縮によるレイノー現象、潰瘍、肺高血圧、腎クリーゼ、爪上皮出血点
    • 線維化 血管障害から発展、皮膚硬化手がむくむ、薄くなり、固くなる、指が曲げられなくなる(関節は異常なし)15%ルール

治療

    • 炎症、線維化
      • 両方にアプローチ メトトレキサート 早期びまん型
    • 間質性肺炎
      • 進行遅延と阻止が目的
      • シクロフォスファミド 薬剤毒性、間質性肺炎
      • ニンテダニブ(オフェブ) 間質性肺炎の線維化進行抑制、皮膚には効かない
    • 肺高血圧症
      • 平均肺動脈圧25mmHg以上心エコーで見る
      • 末梢血幹細胞移植
      • 心エコーで右心径を測る、三尖弁閉鎖不全、ntproBNP、カテで検査値
      • 限局型皮膚硬化、レイノー現象8年、抗セントロメア抗体陽性、発症年齢が高齢などがリスク因子
      • カテ前にDETECTという、点数ツールで鑑別することも、肺拡散能
      • 進行早いので、しっかり治療していく
      • 異なる作用機序で
      • PDE5,エンドセリン受容体、シェーグレン併発の場合は、炎症主体と判断し、免疫治療(ステロイドは避ける、腎クリーゼの危険、どうしても使う場合は経過をよく見る)
      • ニフェジピン、Pde5i 潰瘍の発症予防、イロプロスト注、ボセンタン新規発症予防
    • 強皮症腎クリーゼ
      • ACE阻害
    • 逆流性食道炎、消化器症状(下痢、便秘等)
      • PPI必須になる
      • 胃腸管蠕動促進
      • 場合により抗生剤ローテーションで腸管細菌叢の是正(エキスパートオピニオン)

生活上の注意点

  • 保温、保護により、寒冷刺激の回避(感染には抗菌薬)
  • 消化器症状悪化防止のため、刺激物を避けた食事
  • 免疫抑制薬服用のため、感染予防
  • 血管収縮が強く、レイノーなど悪化するため禁煙は必ず
  • 疲労感が出やすいため、無理のない生活

参考

全身性強皮症(指定難病51) – 難病情報センター

強皮症とは? | 知ってる?強皮症の合併症 息切れとPH | 日本新薬株式会社

全身性強皮症(SSc) | 一般社団法人 日本リウマチ学会(JCR)