アカシジア、ジスキネジア、ジストニアー!(呪文風)ごっちゃになる用語を整理する【その1】
こんにちは、薬剤師のアララです。
調剤薬局に勤務し始めたころには、アカシジア、ジスキネジア、ジストニアの区別がたまにつかなくなっていました(汗)
正直に申し上げるならば、今もたまに「アララ?」となることがあります。
今回取り上げる用語は以下の通りです。
アカシジア vs. むずむず脚症候群
アカシジア(静坐不能)
- 「じっとしていられない」「むずむずする」などが主訴として現れる。
- 苦痛軽減として歩き回るなどする(随意運動である)(消失はしない?)。
- 眠気に関係なく発現。睡眠困難はむずむず脚症候群より軽度ともいわれる。
- 急性の場合には、内的不穏、焦燥感なども伴う。抗精神病薬などで起こりやすい。中脳辺縁系や中脳皮質系のドパミン遮断作用によるものと考えられる。薬剤性の場合にはジスキネジアと併発することもある。
- 原因薬剤の減量、中止を検討。急性であれば、中枢抗コリン薬、βブロッカー、ベンゾジアゼピン系を使用。
むずむず脚症候群
- 「むずむずする」「虫が這うような」「ちくちく刺されるような」「ひっぱられるような」などと表現される。
- 下肢を動かすと消失する。
- 下肢の異常感覚が一次症状として現れ、夜間就寝時の眠気とともに発現し、入眠困難を来す。
アカシジアvs.むずむず脚症候群では、
感覚の訴えや眠気に伴う発現かが大きな違いになりそうですね。
ジスキネジア vs. ジストニア
ジスキネジア
- 歴史的には口唇ジスキネジアとして、用いられていた。現在では舞踏運動、ジストニア、振戦など様々な運動を包括し、広義に運動過多、不随意運動の障害を指す。
- 「繰り返し唇をすぼめる」「舌を左右に動かす」「口をもぐもぐさせる」「口を突き出す」「勝手に手が動いてしまう」「足が動いてしまって歩きにくい」「足が突っ張って歩きにくい」 などなど。
- 主に口、頬、舌、下顎など顔面周囲に生じ、時に四肢、躯幹に舞踏病様の不随意運動として発現する場合もある。
- 不随意運動のため、アカシジアのように苦痛を和らげる行動は生じない。
- 抗精神病薬により遅発性に生じるもの、パーキンソン病の治療薬により副作用として生じるものなどがある。
ジストニア
- 持続性の不随意な筋収縮による。痛みを伴うことも。
- 目があけづらい(眼瞼痙攣)、首が曲がってしまう(痙性斜頚)、字が書きづらい(書痙)、声が出しづらい(痙攣性発声障害)、話すときに舌が出てしまう(口舌ジストニア)、などなど。
- 異常運動・異常姿勢は一定の同じものであること(常同性)、一定の動作において強く見られること(動作特異性)感覚トリック(sensory trick)と言ってどこか体の一部に自分の手などでさわっていると症状が減少する現象があることが特徴。
- 眼球がジストニア運動により偏位する(oculogyric crisis)という現象は、薬剤性では起きるが、普通のジストニアでは起きにくい。
ジスキネジアvs.ジストニアは
うねうね vs. ピーンという感じでしょうか。
いかがでしたか?
ジスキネジアって舞踏様運動かと思っていましたが、不随意運動を包括するものだとわかって、納得しました。
用語も歴史的に少しずつ定義が変化していくものなのですね。
わからなくなった都度、調べるのがちょうどいいのだ!と分からなくなった自分を肯定しておきたいと思います!
参考
重篤副作用疾患別対応マニュアル
アカシジア
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1j09.pdf
ジスキネジア
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1c21.pdf
ジストニア | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター